デンマーク、デネマーク、ダンマーク...第一夜

Kunsthal Charlottenborg, Kopenhagen; 2.3.2008

先週土曜から今週は木曜までデンマークコペンハーゲンにいってまいりました。いた間は天気の良い日と悪い日の差が顕著でやはりコペンハーゲンの地理的条件から天気にかかわりなく風が強いことこのうえなく、雨がなぐりかけるように降る日もあって、出かける気がうせてほぼ一日中友人宅にいた日もありましたが、やっぱり久々の休暇だけあって、なんだかんだいいつつ、リラックスして観光するでもなく、チャリンコちゃりちゃりこいで、あてもなくさまよって、ひさびさのコペンハーゲンを楽しんできました。
やっぱりこの国は何度今自分が住んでいるドイツという国よりもしっくりくる(もちろん、日ごろからいっているように、僕は「ベルリン」に住んでいるのであって、「ドイツ」という国にすんでいるという感覚はあまりないのだけれど)。親戚にデンマーク人がいるおかげで10代のころから何度となくデンマークにいってるせいか、国自体もそうなのだけれど、ことばにも非常になじみがあるからか。なぜかしらないけれど僕にとっては聞いていて気持ちのいい言葉なのだ。そして、あれをぺらぺらにしゃべれたらめっちゃ気持ちいいいやろうな、とも時々おもうのだけれど、文法をひととおりならって、かつドイツ語や英語ができるので、読むのはほとんど大丈夫なのだけれど、他がまだまだ・・・。外国人がつかいこなすのがこれほど難しい言葉もないかもしれない、しかも、なまじデンマーク人が英語やドイツ語が得意というのがまずくて、まったく機会がないわけではないのだけれど、親戚とはいつもドイツ語でしゃべってるし、コペンハーゲンではこちらから話しかける先から英語で応対されてしまう。そんなわけで、しかも、自分にあまくて、相手の好意にやっぱりすがってしまう、でまったく上達しない。

そう、デンマーク語。この一癖もふた癖もある、多分、デンマークという国を、ほかと分けるもの、特に、スカジナヴィアの他の国、特にスウェーデンノルウェーとわけるものは、その島国特有の国民性(これは特にスウェーデン人が冷やかす点)以外に、間違いなくそれはこの言葉だろうと思う。しかし、聞いたことがある人ならわかるかもしれないけれど、やはり、しっくりくる、気持ちのいい、というのは、あくまでも、僕にとって、という条件つきであって、やっぱり万人とってはそうではないようで、それどころ、そんな風に思うやつなぞいるのだろうかといつも思っている。昔親戚のおじさん(もちろんデンマーク人)がよく言ってたけれど、オランダ人やスウェーデン人は歌うように話すけれど、デンマーク人はガチョウみたいに話す、と。これは誰もがいうことで、たとえば、スウェーデン人とデンマーク語で会話したりデンマークという国や人について話すと、スウェーデン人とデンマーク人はそれぞれの言語でコミュニケーションしてほとんど問題はないのだけれど、誰もがやっぱり、あいつらはがちょーか、まったく、デンマーク人ときたら・・・、という風にいつもなってしまう。デンマーク人の国民性に関する議論は隣人であるスウェーデン人たちの独り言を聞いているほうがおもしろいので、日本人が印象をかたったところでしれているのだけれど、それにしても、聞いていてデンマーク語は決して美しい言葉ともおもわないし、それどころドイツ語や英語とならんでヨーロッパで一番美しくない言語にカテゴライズしてしまいたくなる。もちろん、聞いていて美しいかそうでないか、というこの価値判断は個々人の言語にまつわる美的価値によるのだけれど、ちなみに僕が一番いわゆるヨーロッパの言語で一番美しいと思うのは、いうまでもなくロシア語です。それ以外では、ハンガリー語チェコ語ルーマニア語オランダ語がぺらぺらしゃべれたらおもろいやろなー、と常々おもってます。フランス語は聞いていて僕にとってはあんまり愉快な言葉ではないので、僕の美的価値のなかではお呼びでないのが残念ですが、まあ、この話はこれで終りにします。なんにせよ、すきかきらいか、うつくしいと思うか、そうでないかは、ことにデンマーク語とデンマーク人に限ってはまったく別の話、ということにしておきますか。

そう意図したわけではないのだけれど、コペンハーゲン訪問記がある種のデンマーク論みたいになりそうな雰囲気で、とりあえず、今日はここまで書いて、いままで話してきたネタとかかわりのある映像をひとつ紹介して続きはまた次の日以降にします。って、ぜんぜんこれまでの予告とは違うやんけと、お怒りのみなさまごもっともゆえ、もう、もうしばしの御猶予を。今日はもうねなあかんのです。明日は久々に所属のサッカーチームでトーナメントに参加しますが、朝9時にクロイツベルク集合で、しかも今はベルリン市の交通局にあたるBVGがストライキ中でS-Bahn以外は地下鉄もバスもトラムもほぼまったく走っていない状態で、マティアスというフランス人にもらったのでマティアスと命名していた70年代後半ものの愛すべきMifaというDDR製の愛車もついにこわれてしもうたので、どうやっていくかいまだに考え中なのです。

というわけで下にある映像はラース・フォン・トリアーのキングダムという、もはや伝説的ともなったテレビのシリーズから、多分最もポピュラーで、しかも、少なくともデンマークスウェーデンではお互いを揶揄するのに使われる古典的なネタとも化した感のある一シーン。下の映像は小さいかもしれないけれどおゆるしを、みたければ、YouTubeに直接アクセスしてみてくださいな。

最後このおっさん(もちスウェーデン人)はDanskjävlar!(英語字幕ではBloody Dane!)といっているんですが、スウェーデン人がデンマーク人をののしるときに必ずといっていいほど使われる言い回しで、くそったれ、デンマーク野郎、ぐらいの意味でしょうか。明日以降必ず続きます。ベルリナーレで見た映画についても必ず書きます。ではでは今日はこれでおしまい。また自戒。